長女のうーたんは生まれつき小耳症でした。
出産直後、初めて見た娘の耳。
産まれた瞬間は出産を終えた達成感で溢れていましたが、
しばらくして現実を理解し、夜中にひとりで泣いたことを今でも鮮明に覚えています。
聞こえは?バランス感覚は?歩いたり走ったりできる?
産院は母子同室でしたが、
昼も夜も、慣れない新生児のお世話の合間に検索。
時には、授乳しながら検索。
先の不安からたくさんネットで調べました。
※調べすぎて、大学病院の初診の際に医療用語を多用していたため、先生から「医療関係の方ですか?」と言われました。(笑)

将来は?手術は?補聴器は?
支援制度はあるの?
私自身も現在娘の手術前ということで、
手術を本当にするのか?
手術しない選択をするのか?
後悔しないように、家族でじっくり進めて行こうと思っています。
産後、あの時の私のように、
不安でいっぱいの方へ向けて、
私の経験から少しでも役に立てたらと思い。
この「雨のち晴れ」ブログで少しずつまとめていきたいと考えています。
小耳症とは?基本知識
小耳症の定義と症状
小耳症(しょうじしょう)は、生まれつき耳(主に外耳)の形や大きさが十分に形成されない先天性疾患です。外見上の変化だけでなく、外耳道が狭い、あるいは閉鎖している「外耳道閉鎖症」を伴うこともあり、その場合は音が内耳へ伝わりにくくなります。(伝音声難聴)
発症頻度は数千人にひとりとされ、片側性が多いものの両側に見られるケースもあります。
原因は胎児期の発生過程における形成不全と考えられていますが、明確な単一原因が特定されることは難しく、治療には耳介形成や補聴器の活用などがあります。
耳の形状の(I度~III度、無耳症)
小耳症の耳の形状は様々で、医学的には I度~Ⅲ度。無耳症まで。個人差が大きいことが分かっています。再建手術では助軟骨や人工材料を用いて耳介を形成する方法があり、年齢や状態に応じての治療方針が検討されます。
小耳所の合併症は?
小耳症では外耳道閉鎖を伴うことがあり、伝音声難聴を生じる可能性があります。
特に両側性の場合、言語発達への影響が懸念される為、早期の聴力評価と支援が重要です。
また、まれに顎や頬骨の発育不全などが伴うことがあり、これは第一・第二鰓弓由来の形成異常と関連しています。(第一第二鰓弓症候群)
代表的な物には以下があります。
- ゴールデンハ―症候群(眼耳椎症候群)
- トリチャー・コリンズ症候群
- ヘミフェイシャル・マクロソミア(片側性顔面低形成)
合併症の有無を把握するためにも、多職種による包括的な診察が推奨されています。
我が家の場合(体験談)
診断された時の気持ち
出産後、我が子を初めて腕に抱いたとき、もちろん「かわいい」という気持ちが一番にありました。けれど同時に、「左耳が小さい」とすぐに気が付き、出産が無事終わった達成感と、不安とが入れ混じった複雑な精神状態でした。
まさか自分が。
まさかこの子が。
開業医の産婦人科での出産だったため、小耳症について詳しい説明はその後受けられず、後日医大を受診するよう紹介状を書いてもらいました。先生から詳しい説明はなく、情報が少ないことが、何より不安でした。
私は産後、先生に「この子は将来、歩いたり走ったりできますか?」と尋ねました。今振り返れば、混乱の中で出た言葉だったと思います。返ってきたのは「分からない」という答え。その一言に、足元が崩れるような感覚を覚えました。
「この子なら大丈夫」と信じたい気持ちと、「本当に育てられるのだろうか」という不安。その間で揺れ続け、初めての育児の中で心はいっぱいいっぱいでした。わが子は確かに愛おしい。でも、気持ちは人生のどん底にいるようでした。
最初に困ったこと
一番困ったのは、出産した産院の医療者の中に小耳症の知識がほとんどなかったことでした。具体的な見通しや、今後どう動けばよいのかという情報が得られず、不安だけが膨らんでいきました。
産後のケアも、いわゆる「産後うつの可能性」という枠での対応が中心でした。もちろんそれも大切な支援ですが、小耳症という状況そのものへのサポートはほとんどありませんでした。今思えば、先生が詳しくなければ看護師さんたちも十分な説明ができなかったのだろうと理解できますが、当時の私はただ心細さを感じていました。
周囲の反応
出産後、ありがたいことに多くの方がお見舞いに来てくれました。しかし正直なところ、心の負担はとても大きかったです。自分の中でまだ整理がついていない現実を、何度も説明しなければならない。小さな耳が見えるたびに、胸が締めつけられました。来客中に涙があふれてしまったこともあります。
今思えば、お見舞いは断ってもよかったのかもしれません。断り切れなかった自分を、少しだけ悔やんでいます。
親としての葛藤していること
娘は現在、小学生(中学年)になりました。それでも葛藤は続いています。特に悩むのは「サポートの線引き」です。
私は健聴者なので、片耳難聴の娘の聞こえ方を完全に理解することはできません。「困っていることはない?」「ちゃんと聞こえている?」と対話を重ねながら、先生とどこまで配慮をお願いするかを話し合っています。
特別扱いになりすぎないように。でも、必要な支援はきちんと受けられるように。そのちょうどよいバランスは、今も模索の途中です。
ただ一つ言えるのは、学校や先生方と良好な関係を築き、何かあればすぐ連絡を取り合える関係性をつくっておくこと。それが親としてできる、大切な土台だと感じています。
まず最初に知りたかったこと
将来の制限は?学校生活や仕事はどうなる?
診断を受けた直後、私の頭の中を占めていたのは「この子の将来はどうなるのか」という不安でした。
小耳症の当事者がその後どのように成長していくのか、身近に知る機会がなく、具体的なイメージを持つことができませんでした。学校は普通級に通えるのか。集団生活で困らないのか。将来、働くときに制限はあるのか。仕事の選択肢は狭まってしまうのではないか。
調べても情報は断片的で、見通しが立たないことが、何よりも怖かったのだと思います。
医療費・補聴器・障害者手帳は?
耳介形成術という手術があることは比較的早い段階で知りました。しかし、対応している医療機関は遠方にあり、通院や入院にかかる費用、手術費用など、現実的なお金の問題がすぐに頭をよぎりました。
補聴器についても悩みました。我が家では小学校入学のタイミングで購入しましたが、実は現在ほとんど使用していません。本人が「今は特に困っていない」と感じているからです。無理に使わせるのではなく、ある程度成長し、自分で必要性を感じたときに選択すればよいのではないかと、今は考えています。
また、片耳小耳症の場合、障害者手帳の対象にならないケースが多いことにも驚きました。日常生活で配慮が必要な場面があるにもかかわらず、「健常者」として扱われる現実。その線引きの難しさを知りました。
どこに相談すればいい?
産後には保健師さんの自宅訪問などもあり、心身のケアや育児全般のサポートは受けることができました。それはとてもありがたいものでした。
けれど、私が本当に知りたかったのは、「将来のために、今この子に何ができるのか」ということでした。医療のこと、聞こえのこと、学校生活のこと。もっと具体的で、個別性のある相談ができる場を求めていたのだと思います。
もし当時、同じ立場の親の声や、専門的な視点から継続的に相談できる場所があったなら、もう少し肩の力を抜いて子育てを楽しめていたかもしれません。
このブログで書いていくこと(支援情報と医療の準備)
出産直後、私が一番つらかったのは「情報がないこと」でした。
小耳症という言葉は知っても、その先が見えない。将来の姿が想像できない。何から動けばいいのか分からない。
だからこそ、このブログでは、当時の私が本当に知りたかったことを、順番にまとめていきたいと思っています。
医療費助成の仕組み
まずは医療費助成について。
手術や通院、検査にどのくらい費用がかかるのか。公的な制度はどこまで使えるのか。遠方受診の場合はどうなるのか。実際に調べ、経験したことを整理していきます。
浜松市の支援制度(補助金・相談窓口)
次に、現在住んでいる浜松市の支援制度。
補助金や相談窓口、行政のサポート体制など、市町村によって異なるからこそ、具体的にまとめる意味があると感じています。
補聴器補助と使用のポイント
また、悩む方の多い補聴器補助についても触れていきます。
購入のタイミング、実際の使用状況、補助の対象条件など、体験を交えて書いていきます。
就学支援(普通級での配慮)
そして、避けて通れないのが就学支援。
普通級での配慮、先生との連携、合理的配慮の考え方。わが家がどう向き合ってきたのかを具体的に共有します。
親の心のケア
さらに忘れてはいけないのが、親の心のケア。
診断直後の混乱、罪悪感、将来への不安。親が安心できなければ、子どもも安心できないと私は感じています。きれいごとではない、本音も含めて書いていきます。
このブログは、専門家の立場ではなく、ひとりの母親の視点からの記録です。けれど、だからこそ届く言葉があると信じています。
もし今、不安の中にいる方がいたら。
ここに来れば、少しずつ道筋が見える。
そんな場所にしていきたいと思っています。
まとめ
小耳症は、確かに不安の多い疾患です。
見た目のこと、聞こえのこと、将来のこと。
答えがすぐに見つからないからこそ、親の心は揺れ続けます。
でも、情報があれば、選択肢は増えます。
正しい知識があれば、必要以上に怖がらなくてすみます。
そして、同じ立場の声を知ることで、「ひとりじゃない」と思える瞬間が生まれます。
私自身も、まだ学びの途中です。
迷うことも、悩むことも、これからきっとあります。
それでも、出産直後のあの日の私のように、
不安の中にいる誰かの力になれたら。
あの日の自分をハグするつもりで、綴っていきます。
同じ立場の親として、
制度や医療の情報だけでなく、
きれいごとではないリアルな体験も、丁寧に届けていきます。
この記録が、
今は雨の中にいる誰かにとって、
小さな晴れ間につながりますように。
この記事にコメントする